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[コメント] 突然、嵐のように(1977/日)

試験に落ちる若者の話。クルマに詳しいは運転免許を持たず、資格取れと云う秋吉は保母試験に落第する。タイトルに反して、とても世知辛く哀しい話。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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断片はいいものが幾つもある。透明人間状態の郷ひろみの人違いの掴みは良好だし、佐藤蛾次郎の余りにも大量のパンティ泥棒、帰省した娘の秋吉久美子をイジメる千石規子のとんでもない顔アップ、彼女の座敷の宴会で三味線伴奏のドドンパ調で合唱される「心のこり」、蕎麦屋での隣客巻き込んだ郷と秋吉の喧嘩、ラストの新婚と間違えた(スナックの客に体売っている)秋吉への下田駅での万歳。

これらはしかし有機的にドラマを構成せず、コメディとトラジディが漠然と混在する散漫な話法が選ばれているように見える。余り上手くいっているとは思えない。同棲までは上手くいっていたのに、そこからの転落はお座なりだろう。産婦人科の中絶リストで強請りとはまあ、ひどい手口ではある。

しかし、どうしようもなかったのかも知れない。江の島辺りの海岸で郷と蛾次郎にツブシのきく資格を取りなさいと説教する秋吉。だが彼女も保母試験を取れなかった。クルマの構造には詳しいが免許は持っていない郷、という冒頭の暗喩はこれと共鳴しているだろう。ラストのタクシー運転している郷は、さすがに免許取ったのか、それとも取らないままなのか。

試験落ちる、というと私は『彼女について私が知っている二、三の事柄』でマイク向けられたパーマ屋のお嬢ちゃんが速記試験に落ちちゃったのと嘆いている件を思い出す。試験に落ちるのは哀しい。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ぽんしゅう[*] けにろん[*]

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