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[コメント] ジャージの二人(2008/日)

いわゆる「ユルさ」「逃避」が「生きにくさ」への果敢な挑戦の迂回的あらわれに変容して見える時、見た目と裏腹に凄絶な「世界」との戦いが現出する・・・風な好意的解釈を何の気なしを装って待っているのが見え見えでそれは別に悪くないのであるが、肝心の空気変換力に力がなくハッタリが放擲されるのみ。の面目躍如たる二面性の危うさと大楠の絶技が空中分解。
DSCH

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







映画においても小説においても、また現実世界においても、たとえそこで何も起こっていないように見えるとしても、「ほんとうになにもおこっていない」などということはあり得ないと考えている私にとって、とつとつとして語る鮎川のサングラスやループする森、転げるトマト、熊手とジャージ、前世代のテレビゲーム、針がトンでそうなお隣さん、反復の所作など、切り取り方によってはかなりおそろしく鬼気迫るイメージに満ちており、そのへん作り手も自覚的にみえるが、非常に中途半端、結局この映画の中で何かを為そうという覇気が感じられない。映画がむやみやたらと何かを語るべきとも全く思わないが、正直なところ、この放り投げ方は「ユルさ」という言葉への甘えである。「ユルさ」とは免罪符ではない。

3819695さんのご指摘とおり、これはプロモーションもおかしい。というより、もしかしたら「ユルさ」を履き違えた情けない「大衆のニーズ」のためのプロモーションに歪められた映画なのかもしれないと思う。何というか、もうちょっとどうにかなったんじゃないか、つーかホントはもうちょっとどうにかしたかったんでしょ、と頭かきむしりヤキモキしながら観ていました。これ、もっとヤバい映画になるべきだったシロモノなんですよ。多分。

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)3819695[*] 浅草12階の幽霊 ぽんしゅう[*] 水那岐[*]

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