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[コメント] アメリカン・ギャングスター(2007/米)

デンゼル・ワシントン巧いなあ。
夢ギドラ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







フランク(デンゼル・ワシントン)が妻から貰った毛皮のコート(裕福層に成り上がった黒人がいかにも好んで着ていそうな)を暖炉に投げ込むシーンに、響くものがありました。

仕立ての良いスーツに身を包み、決して目立たないことが成功の鍵だと知っていた賢いフランクが、妻のためにあんな成金みたいなコートを着てしまうのが孤独に感じて痛々しいということと、それが元で、マフィア、悪い警官、正義の警官いろいろな人の眼に留まってしまう。で、結局、妻の前でコートを暖炉に叩き入れて燃やしてしまう。なにも燃やすことないのに、そこまでしないと気が済まないあたりの狂気じみた性格とが、デンゼル・ワシントンの好演で多面的に出ていたとおもいました。

全体としては、リッチー(ラッセル・クロウ)とフランクの双方を均等に描き、終盤で印象的な出会いを果たすという構図で、これは美しい感じでした。 ただ、そんな作りのためか、誰か一人を掘り下げる心理描写はできていないので、勿体無さもありました。

結局のところ、フランクの死んだ白人の師匠は、仲介業者を介さず製造元からバイヤーが直接買い付けを行うことを憂いていたのにも関わらず(社会システムが変わるからとか言って)、フランクは直接買い付けに行く。そしてあっさりした幕引き。彼のしたかったこととか原動力は、金持ちになりたかったからじゃなくて、白人社会への反発だったということでしょうか。なんかちょっと美談ぽくなってる気もしました。

このフランク・ルーカスとリッチー・ロバーツは実在の人物で、二人ともまだ存命なんだとか。だから、美談になっちゃったのかなあ。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)KEI[*] 代参の男[*] 甘崎庵[*] IN4MATION[*]

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