コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] きみにしか聞こえない(2007/日)

1時間の時差、非情にもそれが絶対に変えることのできない運命を突きつける。原作者乙一の「こんなに美しい映画は見たことがない」という言葉も頷ける、ファンも納得の出来。
ガリガリ博士

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







1時間前のシンヤに嘘をついてその場から帰らせようとするが、目の前では彼は息を引き取り自分はここで生きて電話をしているという現実。つまりどれだけ嘘をつこうとも何をしようとも運命は変わらないのであり、それがわかっているからこそ、あまりにも哀しい。

さて、原作との設定変更も当然いくつかあったわけだが、それもうまく作用してラストの感動につながる。長野の高台から臨む景色は作品の美しさとマッチする。また最大の変更点であろう、シンヤをろうあ者に設定したことで、リョウとは違う立場での"誰かと話す喜び"を感じることができた。必死の想いで伝えた手話も…。ただし、原田さんの扱いについては少々中途半端。リョウの良き理解者としてアドバイスをおくる未来の自分自身だが、そこは映像化の難しさ。あまりにリョウに似すぎていても観客はすぐわかってしまうし(いや、むしろ原作ではリョウが途中で気づいていたぐらいなんで構わないかもしれんけど)。過去の自分から電話がかかってくるというラストシーンがあってこその彼女の存在なので、長野で終えた本作においては原田さんの扱いをもう少し考えてほしかったところ。

とにもかくにも、書店等で大々的に宣伝してる割にはどうも動員がイマイチな印象のある本作、この優しさに多くの人が触れることを願う。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (4 人)ムク[*] 水那岐[*] Master[*] セント[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。