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[コメント] ターミネーター3(2003/米)

俺は『ターミネーター2』までを観て映画が好きになった。だからこそ、思い入れが強く、不安のデカすぎる12年ぶりの続編を観ることを恐れていた。しかし結果として思い入れの強さがこの評価につながったみたいだ。
JKF

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







エイリアン』『ロッキー』『ランボー』シリーズのようになることがとにかくイヤだった。自分の中で『ターミネーター』の名を借りた大駄作が誕生することを恐れていた。もう観たいんだか観たくないんだかハッキリ言ってよく分からなかった。★1つけて叩きまくる覚悟をして劇場に向かった。

やっぱり文句付けたい部分は山ほどあった。つーか多すぎ。もう神格化されていると言っても過言ではない「ダダスダスダダス」のターミネーターテーマ曲をエンディングでしか使わなかったことなどもはや論外。あれがあってこそ「ああ、ターミネーターだ・・・」と思えるんだよ。それにアクションの合間に展開する足早なストーリー。理解は出来たけどタイムパラドックス云々を考え出すと明らかに説明が不足している。もうちょっと説明して欲しいんですけど。とりあえず上映時間を10分くらいたして説明に費やしても大丈夫だっただろ。それにクライマックスまでマトモな攻撃を受けても殆どダメージを受けていなかったT-Xがヘリに潰されて胴体がちぎれるってのもあっけない。ジョンとケイトが扉の中に入っていこうとしたから慌てたんだろうけど、ちぎれることはないだろう。

また、ターミネーターは「T1」では車に乗るとき窓をぶっこわし、車のキーを使わずにエンジンをかけていた。「T2」でも本来ならば任務外の人間であれば誰が死んでも構わなかった。どちらも「T2」の劇中のジョンの指導または命令によって、T2後半部分では改善されたのだが、今回、昔の記憶があるはずもないターミネーターが「T2」のなかでジョン少年から教わったことをなぜ実行しているのだろう?車のエンジンをかけるときはわざわざキーを探し、墓場で容赦なくぶっ放した後は「死傷者数0」というのを確認していた。オマージュであることは分かるのだが、キーを確かめたり死傷者数を確かめていたターミネーターはそれまでの行動からはどうも不自然だった。映画の進行上、俺としてはどうも引っかかってしまうのだ。だから、こういうシーンをくっつけるなら、もっと説明やアクションのカットを増やして中途半端な編集をどうにかしなさい、と思ってしまう。

どちらかと言うと「T1」に近い感じだが、前二作がなければ単なるアクション押せ押せのハリウッド映画だ。普通なら★4もつけない。だが年々衰えていく一方だったシュワちゃんの「ターミネーター」を再び観たことに懐かしさを感じ、しかも初めてその姿をスクリーンで拝めたことに嬉しさを感じた。いつもの黒い革ジャンに黒いサングラス。確かに歳とったよ。「2」でのジョンとの思い出なんか全然覚えてさえいなかったよ。だが、どんなにやられまくっても任務を遂行しようとする彼の姿は、完全に力では劣っているはずなのにカッコよくて頼もしい。「T2」のときに感じたあの感覚を例え少しでも再び感じることが出来てとにかく嬉しかった。「T1」のときはどこまでも追いかけてくる存在感がとにかく怖かった。やっぱり「ターミネーター」はシュワルツェネッガーの代名詞だ。

俺にとって例えどんなに衰えたとしても、シュワの演じるターミネーターは永遠のヒーローだ。まあ、さすがに登場シーンの筋肉を見ると薬使っていそうな雰囲気だけどさ・・・。

足早なストーリーだったために本編を観ている間はあまり深く考えなかったのだが、ストーリーは案外良くできていると思った。「T1」から言われ続けてきた審判の日は延期された。スカイネットを開発したのもサイバーダイン社ではなかった。つーことは「T1」でカイルがやって来た未来とは異なる別の未来が生まれたわけだ。「T2」がハッピーエンドを迎えた未来なのだとすれば、「T3」が最悪のシナリオとなったパラレルワールドのアナザーフューチャーと考えるべきかもしれない。そうなると2029年が来たときはどう「T1」につながるんだろう・・・。よく分からん。

スカイネットが再び誕生すること、審判の日が延期されたことは一瞬「何でだ?」とも思うが、考えてみれば単純な話だ。例えエジソンが電球を発明しなくても時が経てば別の誰かが電球を発明していた。ニュートンが万有引力を発見しなくても、誰かの手によっていずれ万有引力という理論は明らかになっただろう。スカイネットは例えダイソンが作らなくても、サイバーダイン社が発明しなくてもいずれどこかで誰かが作っていたであろう人工知能なのだ。もし本当にスカイネットを撲滅させたければコンピューターをこの世から消滅させるしかない。T-Xのようにリストを作成し、手当たり次第、将来スカイネットを発明しそうな人間を大量虐殺するしかない。そう考えると決して「T2」が完結ではない。「T3」はしっかりと「可能性のある未来」の一つであるバッドエンドを描いた。アクションの合間に入る説明だけでは不足しているが、俺はこのストーリーやオチを評価したいと思う。なんだかんだ言いながらよくつなげられた。

でも頼むから「4」作るなら『ターミネーター』の名を借りた未来戦争映画だけはやめてくれ。そんなことするなら未来から俺がターミネーター送りつけてやるぞこんちくしょう。そして「T4」を製作しそうなハリウッドの糞監督の名前を全部、今のうちにリストアップしといてやる!

(評価:★4)

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