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[コメント] 海街diary(2015/日)

冒頭、長澤まさみが男の部屋を出て、海の見える道を歩くカットですでに鳥肌が立つ。これは道を歩く人の映画であり、斜面(坂)を登る人の映画であり、思い出の風景を眺める人の映画だ。それは彼女達にとって見ることの幸福であり、観客にとっても画面を見る喜びとシンクロする。
ゑぎ

とにかく全編実にきめ細かな配慮が行き届いている映画である。科白で示唆されるのみで登場しない人物や、大胆に省略されたプロットも多いのだが、そういった部分も、プロット構成の潔さ、或いは説明過多におちいらない余韻の醸成に繋がっており、本作の美点だ。 また、ファーストカットから屋内シーンの漂うようなカメラワークが快く、鎌倉の四季の表現、特に紅葉と桜がとびっきり美しい。何といっても、広瀬すずが自転車二人乗りで桜のトンネルを行くシーンが白眉。このシーンの彼女のアップカットはちょっと突出した映画的造型だ。それに鎌倉の旧家の場面は悉く良く、カマドウマに驚かされるシーン(夏帆と広瀬がカマドウマの真似をする)にしても、梅の木を4人で眺めるシーンにしても、戸外に置いたカメラで切り取られる窓越しの視点が映画の画面を獲得する。

 ただし堤真一加瀬亮リリー・フランキー鈴木亮平ら男優達については、私の好みで云うと、みんな生臭さが無く面白くない。わざと面白くないキャラを作っているのだろうが。そんな中でスポーツ店の店長、池田貴史が唯一面白い。かなりのもうけ役。

#長澤と広瀬が駅へ向かうカットですごい露光オーバーのカットがある。逆に、中盤、4人で浜辺を歩くカットで人物がアンダー過ぎ、顔がほとんど見えない。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)ペンクロフ[*] IN4MATION[*] 緑雨[*]

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