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[コメント] アパッチ(1954/米)

最初期のアルドリッチ映画だが、この時点で既に良くも悪しくもアルドリッチらしさに溢れている。それは単純なヒロイズムでは括れないが、しかし紛れもない活劇である、という点がそうだし、登場人物の情動を真摯に描く姿勢がそうなのだ。
ゑぎ

 ただし、こういったアルドリッチらしさが納得性を持って観客に迫る映画になっているか、というと疑問は残る。監督2作目だからか、役者が興したプロダクションでの雇われ仕事だからか。バート・ランカスタージーン・ピータースがネイティブ・アメリカンを演じ、まるでそれらしく見えないという奇異さはこの際どうでもよい。主人公二人の関係性の変転こそがこの映画の複雑さだろう。ランカスターのジーン・ピータースに対する感情の変化、愛憎の交錯の複雑さが私を戸惑わせる。ただし、アクション・シーンでのランカスターはやっぱり素晴らしく躍動感溢れる演技を見せる。二人でトウモロコシ畑を作るシーンも良い。彼を追うジョン・マッキンタイアも落ち着き払っていて渋い。端役時代のチャールズ・ブロンソン(当時チャールズ・ブチンスキー)が騎兵隊側についた軟弱なアパッチを演じているのだが、ある種の毅然とした性格づけもされており、このあたりもアルドリッチらしい複雑さだろう。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)けにろん[*] 袋のうさぎ 3819695[*]

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