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[コメント] 甘い生活(1960/伊=仏)

都市に生きる孤独、絶望的なまでのコミュニケーション不全。
緑雨

主人公は見たところ仕事でも成功してそうだし、金にも女にも困らず、毎晩のように友人たちと楽しく明け方まで飲み騒ぐ生活を送る。だが、この退屈なエピソードが重ねられていくに連れて、恋人とも、父親とも、旧友とも、セックスフレンドとも、誰一人として心底通じ合っている相手がいないことが痛切に伝わってくる。この絶望感。

ここには『8 1/2』のようなやけっぱちの大団円は用意されていない。ただ、その絶望的な孤独と付き合いながら都市で生きていく人間の運命、諦観が開き直りのように展開される。この先見性たるや。

しかしまあ、なんとクリアで冷静なモノクロ画面なんだろう。ただ溜息。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)ゑぎ けにろん[*] ぽんしゅう[*]

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