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[コメント] ALWAYS 続・三丁目の夕日(2007/日)

昭和33年を静的に切り取った前作に対して、過去との関係性で昭和34年における時間感覚を動的に浮かび上がらせた続編。
緑雨

**ネタバレ注意**
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前作では、数々の風物…建設中の東京タワー、力道山、三種の神器、集団就職、オート三輪、フラフープ…によりスナップショット的に時代を切り取っていたのに対し、この続編では敗戦からわずか数十年、戦争がまだ「記憶に新しい過去」であったという時間感覚を浮かび上がらさせる試みがされているように感じた。それは、堤真一が戦友を連れ帰るエピソードだったり、薬師丸ひろ子上川隆也の日本橋でのエピソードだったりに代表されるわけだけど、冒頭のゴジラにしても、単なるギミックであるという以上に、堤がみせる怒り心頭の背景に存在する、苦労に苦労を重ねてここまで作り上げたものを壊しやがるのか!という切実な心情と交錯するからこそ効果を生んでいるように思う。

一方で、メインプロットである吉岡秀隆の話に魅力がないのは、もちろんどこかでみたような話だとか演出が平板だとかいうこともあるのだけれど、このエピソードがこの時代を背景にする必要性に欠けている点も大きな要因となっているように思う。落ちぶれた貧乏作家、家の借金を抱えて身を落とす女、複雑な家庭の事情に翻弄される少年、これらの設定は別にこの時代じゃなくても現代でもじゅうぶん成立するし、実際そんな設定の連ドラとかいかにもありそうだ。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)sawa:38[*] けにろん[*] ぽんしゅう[*]

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