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[コメント] ザ・ミッション 非情の掟(2000/香港)

ツイ・ハークのダイナミズムと対極を成す不動の銃撃戦は秀逸だが、そんな風に所々でプロらしく見せようとする演出と、実はアマチュアな用心棒達の奮闘記でしかない脚本とが、最後まで噛み合わなかった。
kiona

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







× 夜闇に高窓からライフルで狙われる圧倒的に不利な状況にあっては、長期戦を想定して無駄玉は控えないと。

× 命がけの仕事である限り、事なかれと思うのが当然。「俺達の仕事は、ただ突っ立てるだけなのか?」なんて不貞腐れてどうする。

× 統率者の制止を振り切って独走した者を置き去りにする判断に何の間違いもない。置いてけぼりを喰ったと逆上する輩は論外だし、統率者がそのことに罪悪感を感じ、お返しをしてやるとか片腹痛い。

× 帰宅が遅れた理由に、車の故障と携帯の電池切れ。これは浮気の言い訳だが、護送車の整備も携帯の充電もプロなら必須。問いただしたって、おかしくはない。

× 仲間の始末を任命された宍戸錠似の方(ツイ・ハークドリフト』にも出ています)が、そのための拳銃調達を同じく仲間である調達係の上島竜平似の方に再度依頼するが、事が仲間に知られてもめた時点で、上島似が細工をするであろう事を見抜いて当然。もちろん見抜かれたことを見抜き返して当然。宍戸似がやおらステンレスタイプのベレッタ(じゃ、なかったかも…)を持ち出したのを見て驚く有様にも、あれ…。

 これらは脚本の粗だったのか、それとも狙いだったのか? 前半、高窓からの狙撃の際に、彼らはボスの被弾を許してしまいます。にもかかわらず、彼らは粛清されることもなく免罪され、それどころか、ボスに慰められる。こんな描写があるからには、アマチュアとして描くつもりだったのでしょうか。その方が友情物語の言い訳にもなります。そうすると、例の銃撃戦なんか見せられたって…

 部品は剽窃でも、それらを整合するための文脈は自分で考え抜き、捻り出す必要があると思います、たとえばタランティーノのように。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)ねこすけ[*] けにろん[*] たかやまひろふみ[*]

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