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[コメント] ムーラン・ルージュ(2001/豪=米)

古典的ならそれで良いというものではない。

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







狙いは良い。この映画はミュージカル部分がいかにもここはミュージカル部分って感じで分けないで流れの中に組み込んでいる。ミュージカルを見せるのでなく、ミュージカルを用いてストーリーを伝える、といった表現が強い。だからこそシンプルで安心感のある話にして頭を使わせすぎないようにして、ミュージカルによるストレートなパワーを邪魔しないようにするのは確かに適切な狙いだ。しかしベタで魅力のない話にしすぎてミュージカルによって語る価値すらなくしてしまっては、意味がない。ミュージカルが魅力だから話は普通でいいんだとは思わない。ミュージカルが話と一体化しているからこそ、話に魅力がなければならない。あの話で後半ダレるのはもう確定的。馬鹿っぽさを感動に組み込めないなら、両方を一緒にやるのはやめた方が良い。

この映画ならサティーンが結核で死ぬのは余計だ。「愛」を貫いて終わるはずがなぜ病気で死ぬ? 意味が解らん。公爵にばれないようにゴタゴタとやるのも意味がない。本当にシンプルにしたいなら二人の感情だけでストーリーを作るべき。あの手のゴタゴタはシンプルなネタに一番楽なストーリー的味付けをしただけであって、その味付け部分まで取り入れる必要はない。

狙いは良い。美術も選曲も好きだし、この映画のやりたかったことは俺の観たいものの一つだ。間違いなく。しかしそこまで素晴らしい完成度でそれを実現できていたかというと、そうでもない。目新しさと勢いとパワーで欠点を目立たなくしている感は否めない。

といっても、俺はこの映画を絶賛している人達の意見が間違ってるとは思わない。俺もそっち側へ行っていたかもしれない。この映画にはパワーがあった。欠点を欠点と感じさせないパワーがあった。絶賛している人も全員が全ての要素を褒めているわけではないだろう。欠点があってもそれを欠点と感じないパワーを受け取ってからこそ、大絶賛しているのだろう。俺にとっては『少林サッカー』がそうだった。俺は曲の半分位は詳しくは知らない曲だったし、そもそもビデオ鑑賞。とりあえずその二つだけでもクリアしていれば、最初に受け取るパワーが違うはず。全体的な印象も180℃違っていたかもしれない。もちろんそれによって上で書いた欠点が欠点でなくなるというものではないが、その欠点が結局どれだけ俺にマイナスに働いたかどうかは俺の問題でもあった。つまり「欠点は多いが素晴らしかった」と「素晴らしい点もあるが欠点が多く台無し」は紙一重ってこと。その紙一重の差は俺の鑑賞環境によるものだったかもしれない。(まあ一言で言っちゃえばノレるかノレないか)

・・・とまあそんな言い訳をしながら恐る恐る3点をつけさせて貰います。

(評価:★3)

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