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[コメント] ゴジラ対ヘドラ(1971/日)

ニッポン・ヘドラ時代------4ねん1くみ いくけん
いくけん

あんまりにも、冒頭の唄が素晴らしいので書き写します。(何とPOPな場面!)

鳥も魚も どこにいったの〜

トンボも蝶も どこにいったの〜

♪水銀、コバルト、カドニウム、鉛、硫酸、オキシダン、シアン、マンガン、バラジウム、クロム、カリウム、ストロンチウム

♪汚れちまった海、汚れちまった空

♪生き物、みんな いなくなって 野も山も黙っちまった

♪地球の上に誰も 誰もいなけりゃ 泣くこともできない

♪返せ 返せ みどりを青い空を 返せ

♪返せ 返せ 青い海を 返せ

♪返せ 返せ 命を 太陽を 返せ 返せ (エンドレス)

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70年代、初頭の日本は、酷い公害地獄だった記憶がある。大阪の川なんか、全てがどぶ川と言い切りたい位に、汚れていて、しかも大量のゴミと、黒とか緑色とかのヘドロが我が物顔に浮かんでいた。どぶ川の魚はもとより、大阪湾で獲れる魚なんかも、頭の方が出目金のようにプクプクの泡の憑いた畸形魚が頻繁に獲れていた。大気汚染も華ざかり。工場の煙突から有害ガスがモクモクと吹かし放題。車の排気ガスの黒さもはんぱじゃない。淀川区の工場地帯の方なんて、喘息で死んだ子どもの数、数十人。(俺も喘息もちでした。)あと、酷いのが、光化学スモッグの日。なんか微妙に臭いがする。そして、頭がずしりと重くなってくる。小学校の放送で、生徒が「光化学スモッグ注意報が発令しました。教室の方に移動しましょう。窓を閉めましょう。」などと、ゆっくりとアナウンス。(もっと怒れよ子供たちよ、しかし、そんな日常に異常性を強くは感じずに、淡々と皆すごしていた。子供ってそんなもの。)そして、今、生きているのが不思議なくらい、公害、有害物質に囲まれていた。←だから、この映画の描写も決して、大げさなものではない。

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いくけん の 友達?の やのけん も 書いてます。(映画内で)(余りにも上手いのでコピーします。)

げんばく

すいばく

しのはい は うみ へ

どくがす

へどろ

みんな みんな うみ へ すてる

おしっこ も

ゴジラがみたら

おこらないかな

おこるだろう な

2ねん1くみ 矢野 研  

(この詩のときの、ゴジラの登場 と 音楽がキマッて いる!)

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4年1組時代の いくけん の感想 は 思い起こすと、大体こんな感じだったかな?

(今は亡き父に映画館に、連れて行ってもらった。ゴジラものは良く行った記憶あり)

ヘドラがおっかなかった。今までの怪獣と違い変(今の言葉に直すとシュール)だったが、面白かった。本物のヘドラ(光化学スモッグとか)もゴジラに退治して欲しい。大人がんばれ。ヘドラって、お岩さんと、道路工事に使うコールタールに似ている。

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(考えてみるに、『ゴジラ対ヘドラ』のわたくしメへの影響。)

             ↓

エコロジストいくけんの嗜好にもろに影響あたえている!あと、何か、変で、自嘲的なわたくしメ文体が、冒頭の唄とか、矢野研(小2)に似ているよ!(笑)うーん、今、驚いている!(我ながら、影響されやすいやっちゃ。と思う)

そう云えば、映画の帰りに、父が「面白かったか?」と聞いた気がする。「変わってたけど、面白かった。」などと答えた記憶が。微妙ににんまりする父。(映画の主題が何気なくわかったことに対してだろう。)最小の努力で最大の影響を与える、わが父。なかなか、超えられない大きな背中やの〜。

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あと、最近、観直しての感想などなど。

ビオランデエイリアンの造型を観た今となっては、ヘドラの造型が甘い。ヘドラのヒラヒラが昼間のシーンでは、可愛くさえみえる。ちょっと、ガチャピンムックを足して2で割った感じ。(と、いうよりヘドラがあの2匹に影響を与えたのかも!)もっと、ヘドラの造型には、妖艶さと妖怪性は欲しかった。

●そういった幼い怪獣性を持つヘドラとその恐ろしい効力(飛行した後、影になった人が骨になっていく=死の灰性)がアンバランス。このアンバランス加減さは、核ミサイル用の防御マスク(風邪引きのマスクに毛のはえたような、代物)を連想させた。恐い。70年代の初頭のこの映画の佇まいに、死の臭いを感じた。

●政治家(総理とか、もろもろの大臣とか)の姿が、映画に皆無。不自然なくらい!政治不信、極まれリ?いや、高度経済成長の時代に、経済成長の副作用たる公害云々を云うことが忌避(タブー)だったのだろう。そんな、時代の雰囲気を、図らずもこの映画、脚本は体現している。貴重な映画だと思う。シュールだし。この映画を大いにプッシュしたい。

●若者は只、ゴーゴーするだけ!公害反対署名活動のひとつ位しろっちゅうの!(遠因は、60年安保の挫折の歴史にあると思うのだが!ちょっと、哀れな昔の彼ら。)そして、映画の大人達も、マージャンするだけ!

ゴジラに環境破壊者=ヘドラを殺せだって!何、いってるんだ日本人。 だいたい、ゴジラの出生は、水爆実験の環境破壊による、恐竜の突然変異種だろうが!いわば、ゴジラヘドラは、環境破壊をキーワードに結ばれた、双子の申し子だっちゅーの!ここが、変だよ、無責任だよ日本人!夕暮れ後の闇の中は、闘うゴジラのゴツゴツした黒い岩肌と、ヘドラのざらついた黒い突起物が正しく、等価に見えた。そうだ、ゴジラのゴツゴツとした岩肌は、水爆被爆によるケロイドなのだと確信した。

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最後に、他の方々も、同趣のことを書かれておられますが。

♪地球の上に誰も、誰もいなけりゃ、泣くこともできない♪

オゾン層破壊、地球温暖化、の叫ばれる、今の時代に、この歌詞を噛みしめたい。

そう、未だ、ヘドラの時代 は 終わっていない!

(評価:★4)

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