[コメント] 男はつらいよ 奮闘篇(1971/日)
「帰り寄ってくれや。茶淹れるから」
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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犬塚弘演じる警官が寅に言う台詞だ。初めて接した人にこんな台詞をはかせる、寅の魅力を間接的に表すいいシーンだと思った。ホッとした。
ホッとしたといえば、冒頭の集団就職の子どもたちを励ます寅からはじまり、何だかんだ言いながらも寅のことが心配で仕方がないとらやの面々も、母も、寅のお嫁さんになると告げる少女も、少女のことを守ると誓う寅も、小さかった少女を教育し育んできた教師も、そして何があろうと兄を擁護し、また必死にその消息をたどるさくらも、それぞれ立場は違えども、心から純粋な思いでそれぞれを思っていることが伝わってくる。そしてその純粋無垢な思いこそが、この難しい筋立てに安らぎを生んでいる。そのことには心底ホッとした気分になる。
女優としての倍賞千恵子の凄さに震撼する青森のシーンは言うまでもないが、そこに榊原るみの可憐な笑顔と歌声が重なる江戸川沿いのシーンもすごく良いし、何も言わない彼女に「よかった、よかった」とだけ告げたという寅と彼女の厳しい別れが、教師からの言葉だけで画として示されないところにも山田洋次なりのやさしさを感じた。
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