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[コメント] リミッツ・オブ・コントロール(2009/スペイン=米=日)

他人の個性をも受け入れてなお且つ自分のスタイルの映画に仕上げたジャームッシュの終わらない映画への探求心に今回もまた圧倒された2時間。
ナム太郎

**ネタバレ注意**
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これは一歩間違って「想像力」を働かせたりすると全く理解できない映画で、そんな一見意味ありげな言葉には決して惑わされることなく、むしろそんなものは全く無視して、目の前に広がる無意味な世界を思い切り楽しむのが正解だと思う。

例えば(「襲いくる睡魔に耐え」という人が多いみたいだが)ようやくたどり着いた、これもまた意味ありげなアジト。その周りの何人もの見張り役。今まで事件らしい事件が起こらずにここまできたけれど、最後の最後に何かやってくれそうだな。さてさて「孤独な男」はいったいどんな手を使ってこの完璧な防護壁を乗り越えるというのか…とまぁ、普通の人ならそんな期待を抱くであろうこのクライマックス。がしかし、ジャームッシュはそんな観客の期待?を見事に裏切って、派手なアクションのひとつも見せることなく、ただひと言の台詞で全てを片づけてしまう。要はそこに失望するか、拍手をするか、だ。

とはいうものの、この映画に、いつものジャームッシュ節とはまたちょっと違った趣きを感じたのも事実。ショットの多さも、カット割も、色合いも違う。その辺りは彼の映画では初めてのタッグとなるドイルの個性が比較的強く押し出されたからだろうが、そういった個性をも受け入れてなお且つ自分のスタイルの映画に仕上げたジャームッシュの終わらない映画への探求心に今回もまた圧倒された2時間だった。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)赤い戦車[*] HW[*] 3819695[*]

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