好きな娘に話しかけることもできないさえない高校生――。 こんなキャラを、トビー・マグァイアは、『カラー・オブ・ハート』で、ずっと前にもやったよねー。

あちこちちりばめられた風刺に、ニタニタしながらも、なんとなくシュンとなってしまう。このデジャ・ブな展開の中で、（大喜びで演っている）素敵な役者たちに、スジの説明も含めた(笑)それこそ照れ照れの台詞をしゃべらせて、クスクスいわせ、”弱きを助け、強きをくじく”って自分で言わなきゃ誰にも言われないかもしれないような、まるで幼馴染のような真正蜘蛛目ヒーローを応援してやるレトロな脚本が生き生きしている。 でも、ちっともうるさくないのが不思議。”どかーん、ガキーン”でなくて、”ばーっ”っていう感覚。 橋の下のシーンで、ゴブリン(ウィレム・デフォー)にみんながブーブーいいながらものを投げ出して、ゴブリンが”あれっ”って感じにたじたじしちゃうところで、ぐっときてしまいましてね。

さあ、ピートは、MJは、どうなる？ハリーは、おばさんは、そして、新聞社の編集長は．．．とみんなのその後が気になり、シリーズ2を観たい気分にさせられる。 ”面白かったねー(にこにこ）”といって、出口階段の手すりの下にぶら下がっているかもしれないスパイダーマンの残像を思い浮かべながら、深夜の映画館(シネコンでなければもっとよかった）を後にする私たちの姿さえ、映画の中の1シーンになりそうな気がしてくる。