[コメント] キューポラのある街(1962/日)
本質的には、日本お得意の貧乏映画なのである。その描写は当時生きた者には思いあたる生活である。みんなほとんど貧乏が当たり前だったのだ。一方、北鮮に帰る彼らは、確かにあこがれの地に行くようにそれと対象的に描写している。
今まさに北鮮に帰った彼らの悲惨な実態を知るに至り、当時見るものとはまったく違う視点を僕たちは持たされることとなった。
ジュンがラスト近く思い描く自由は、彼女の強い意志のもと形成するものだが、何か今見ると日共系の臭さが充満している。
それはまさにサンちゃんを北鮮に送ったものと一緒だと言ってもいいのではないか。
この映画は今見て、また違う視点から、当時の社会を横から見据えた作品となり得ている。そこが面白い。僕も20年程前に見たときとかなり違った印象を持たされてしまった。
ただ、原作のあの工場でのコーラスに見られるような、日共的臭さは当時も感じていたが。
意外と骨格の太い映画だったんだなあと思い入る。
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