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[コメント] ブレインデッド(1992/ニュージーランド)

うっ、どこにも無い…「感動して泣いた」の類のコメントが。
はしぼそがらす

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







…わたしだけですか?「世界中の息子たちよ、今こそ母の胎内に別れを告げ、芝刈り機持って立ち上がれ!」と熱いハートで叫んだのは…

ライオネルの底知れない優しさ(ゾンビベイビーの公園デビューは言うに及ばず、ゾンビらが退屈しないようにと地下室にテレビセットまでしつらえる心配り!)、誰にも迷惑をかけまいと頑張るけなげさ(実はこちらのほうが優先するので「事態収拾モード」に入ったライオネルのゾンビの扱いはかなりむごくて笑える)、その温かさが腐れ死体の腐臭の間からじんわりと心にしみてくる。

そして、クライマックスであらえっさっさのゴアシーンの合間を縫って父の死の真相を知り、トラウマを克服するライオネル。ついに彼は母の呪縛を振り切り、自分の行為が優しさからではなく、他の人から嫌われることを極度に恐れる気持ちから来ていたものだと知る。そして悟る。本当の優しさとは、自分が責任を持って彼らを、えー、あのー、ペースト状にすることだと。

その覚悟を決めた彼が、芝刈り機をささげ持って立ちはだかったあの瞬間、わたしは見事タフな漢(おとこ)へと変貌した彼の姿に涙した(その目に宿るわずかな愛と多量の狂気は男魂のスパイスということにしといて)。

そして、これは優れた「自立モノ」映画であることを確信するとともに、だからといってそのキャッチフレーズで人に薦めたら友達の数が激減するであろうことも確信してしまったのであった。

最後に、物語の冒頭でめちゃくちゃ嬉しそうにメッタ切りにされていたピーター・ジャクソン、物語の中盤でめちゃくちゃ嬉しそうに屍体から吹き出る防腐剤シャワー浴びてたピーター・ジャクソン、その全く持って意味の無い二役出演に敬意を表する。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)アブサン[*] tkcrows[*] ボイス母[*] ねこすけ[*]

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