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[コメント] ゼブラーマン(2003/日)

オープニングでこれが2010年と言うことが分かる。えーっとつまり、その時はほぼ私も真市と同じ年齢…しかも凄い駄目男だし…やっぱり、なんか自分を見てるかのようで痛々しい思いを…
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 …それはともかく、これだけ痛々しいからこそ後の物語が映える訳で、むしろ物語としては悪くない。そして登場するゼブラーマン!…は、やっぱり弱い。それがだんだん本当に強くなっていく課程は、やっぱり観ていてニヤニヤしてしまう。分かってるじゃないの。これが大切なんだよ。

 物語はご都合主義且つ大味。だけど、燃える物語には違いない。細かいところは目をつむろう。特撮の醍醐味は“どれだけ燃えられるか”にこそあるのだから。

 ただ、観ていてちょっと疑問が。

 宇宙人の侵略は良しとするし、それで妙なパワーを得た真市が本当のヒーロー“ゼブラーマン”になるのもOK。だけど、そもそも彼は何から逃避していたのだ?

 彼にとって、現実そのものが耐えきれないからこそ、ヒーロー像に逃避していたはず。だったら、何故超常現象ではなく、現実に立ち向かっていく課程を描かなかったのだ?そりゃ2時間枠で宇宙人の侵略なんて大々的なものをやってしまうのだから、時間的に難しかったのは分かる。だけど、妻と娘が、最後に「あれお父さんに似てない?」で終わらせてはいけなかったんだよ。たとえどれほど痛々しく、ベタでも「俺は家族を守るんだ!」と叫んで、妻と娘の前でゼブラーマンになる課程を描いて欲しかった(たとえそれがこそこそと着ぐるみを装着するような情けない格好であったとしても)。と言うか、それがなければならなかったはずなのだ。

 しかし、この作品では彼が守るべきは赤の他人である浅野晋平と言う少年であり、その母可奈(鈴木京香)だった。「彼ら“を”守る」ではなく、「彼ら“も”守る」としてこそ本当だろ?ヒーローとは、博愛精神に溢れるばかりでなく、むしろ自分の家族のために戦って欲しい(特にここでは下心を肯定してしまってるし)。この辺は是非続編作ってやってほしい。と切実に思う。

 演出に関しては、手作り特撮とCGの配分は悪くない。ラストバトルがCGばかりなのはちょっといただけないものの、それでも盛り上げ方は正しいだろう。泥だらけになって特訓するヒーローの情けない姿を見られたのも嬉しいところだ。

 小ネタだが、冒頭、真市が観ていて「なっちゃいねえなあ」と呟く番組では敵はモロ『リング』(1998)の貞子だったが、それが「私はお前の母だ!」と叫ぶのは『スター・ウォーズ 帝国の逆襲』(1980)ではなく、『イナズマン』のバラバンバラであると信じたい!(馬鹿か俺は)。それと、非核三原則を無視して核爆弾を国内に持ち込むのはともかく、そのドテっ腹に日本語で「中性子爆弾」と書かれていたのには不覚にも大爆笑。分かってやったとしたらたいしたもんだ。勿論、鈴木京香が身を張って演じたゼブラーナースの存在も忘れちゃならない。あのコスチュームは結構キタぞ。

 …しまった。妄想全開のレビューになってしまった(笑)

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)sawa:38[*] ダリア[*]

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