全然いかれてないじゃん、帽子屋。ましてや帽子屋を救うためにアリスが冒険を？　ないないない。少なくとも原作既読者にとっては、帽子屋がストーリーのキーパーソンたり得ないことは明らかだし、その違和感は物語の最後まで払拭できない。

　原作ではほんの脇役にすぎなかったこの帽子屋の変化を、例えばアリスの成長によるものだとかなんとか好意的に考えてみる。そうすると今度は、帽子屋以外のキャラがほとんど変化していない事が説明できない。ラストでイモムシが蝶になったくらいか。

　原作ファンには噴飯ものの出来だし、逆に未読者にとっては原作前提の不親切なネタが多すぎる。どっちにしても久しぶりにひどい駄作を見た。

　ちなみに私は3Dでこの映画を見たのだが、もともとバートン特有の暗い色調の上、3Dメガネのせいでさらに暗くなって画面が見づらい事この上なかった。率直に言って3Dである必然性があったとも思えない。