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[コメント] ALWAYS 三丁目の夕日(2005/日)

似て非なるもの。そこそこの佳作。
ぱーこ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







昭和33年私は9歳小学校3年生。滝野川3丁目3番地3号は江原モータースの2階8畳に1家7人が間借りしていた。私の誕生日は3月3日で当時建設中の東京タワーは333m。つまり3は私に取ってマジックナンバーで銭湯の下足札は必ず3番を取るようにしていた。ない時はその倍数で我慢した。そんな時代に個人的に愛着のある私にとって、CG再現された画面は横浜ラーメン横町に行ったのと同じような懐かしさと違和感がある。

冒頭ラストの模型飛行機はライトプレーンのB級と思われる。それは模型飛行機でも上等な部類で小学生はあまり持っていなかった。大切なので路地からは絶対に飛ばさない。駄菓子屋のスカくじは皆ベロでなめたもので水につけたりしない。といった具合に細部の違和感が大きい。金の卵(当時そう呼ばれていた)集団就職の女子工員に6畳の部屋をあてがうのは破格の扱い。などと過去の個人的な経験にこだわった繰り言をつぶやきたくなるのは私がもはや老人の証拠である。だが個人のノスタルジーをまっとうに刺激するのはやはり個人の具体的な経験にそった描写であると思われる。同じ経験をしていなくても(事実としてスカくじを水につけた駄菓子屋はあったかもしれない)その時代に対する思い入れこそがリアリティを保証する。映画ではないがつげ義春の「義夫の青春」のメッキ工場などの描写にはまちがいなくあの時代を感じる。その点で大変な労力を費やして再現した昭和の画面に私は分裂した印象を持った。

あれだけベタの話で嫌みがないのは役者の演技と押さえた演出でその点は好感がもてた。さすがに私は泣けなかった。当時がすでに一般的なノスタルジーとしてくくられる世代の方に好評なのは当然かなとも思った。小雪や薬師丸ひろ子のそれなりな演技、うまい子役に免じてそこそこの4点。

(評価:★4)

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