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[コメント] 東京物語(1953/日)

蒸し暑い日本の夏、幸一の団扇、志げの団扇、紀子の団扇、扇いだ風はそれぞれの人生の香りがした。
みかりん

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







尾道から東京に住む子供達に会いに、老夫婦は荷造りを始める。 お父さん、自分の鞄に入れてある空気枕を妻の鞄から探させる。(笑) 自分が間違っていても謝らない。妻も「ほら、やっぱり、そっちだったじゃないの!」 などとは、絶対言わない。 何十年連れ添った夫婦でも、夫を敬い丁寧な口調。(いいですねー)

嫁と姑だってそうです。 洗い物を済ませた後は家族みんなが、姑も小姑も「ご苦労様でした」とねぎらいの言葉をかける。(んーこうでなくっちゃ!) かと思うと、母の危篤の知らせに喪服の話を始める娘、瀕死の母を前に到着の遅い兄弟の非難をしたり・・・どこにでもある、いつもどこかで耳にする会話。

橋田ドラマでもありそうなストーリーなのに、全く違うのはなぜなんでしょう。

子供達は今の暮らしで精一杯。 血の繋がりのない亡き次男の嫁紀子だけが優しく接してくれる。 でも、もし紀子に恋人がいたら、志げの店が閑古鳥状態だったら・・・ 別の東京物語が生まれていたであろう。 志げは決して親不孝者ではないのだ(笑)

孫よりもやはり子供が可愛いと言ったお父さん、お母さん。 私は自分に言われたようで、涙が止まらなかった。 子供だってそうなんだよ、不器用な愛情表現だけど、本当はものすごく愛していることをわかって欲しい。

周吉もとみもそれは十分わかっていたと思う。

(評価:★5)

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