[コメント] イングロリアス・バスターズ(2009/米=独)
「この映画を観て笑う」と決めて来ている観客の無理矢理な笑い声を聞くのが辛い時があるが、この映画の時もそうだった。☆3.0点。
タランティーノは自分が技術的に向上している事を示したかったのだと思うが、確かに技術的には更に向上している。しかし観客に感情移入出来る心理描写が少ない為に、技術が上滑りしている。
好演したヒロインの酷い扱いなども、展開自体は私は嫌いではない。しかしそれを納得出来るまでの描写が足りない。怪演したナチス将校の描写も、「奇天烈に面白い人物」としても「心底恐ろしい人物」としても変に悔いが残る描写に留まっている。
終盤を占める問題の「大作戦」にしても、史実であろうが虚構であろうが構わないが、説得力が無いのが余りにイタい。
この映画の欠点の幾つかはタランティーノが敢えて意図した事も承知している。そういう悪ノリは大好きなのだが、それがノれないという…。何だか超プロ級の学生映画を観せられたよう。普通学生は技術の不足を情熱(時には狂気)でカバーするのだが、この映画では逆を行っている。
ただ、本当はブチ切れ演技をさせたらピカ一のブラピが、クリストフ=ヴァルツの怪演を強制的に観せられて「……。」というシンクロ度は、思い出しても面白い。
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