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[コメント] バベル(2006/仏=米=メキシコ)

課題提起の強靭さは、この映画の真骨頂。
ジェリー

強いものが弱いものを守るしくみが社会であるとするならば、今の社会はなんと出来の悪い社会であるだろう。強いものは弱いものの守り方を知らず、弱いものは自分自身が強いものにとってのハザードになることに気がつかない。この食い違いが世界大のスケールで存在している。文化の壁を越えて存在する共通事態とは人間にとって何なのか? この課題提起があるからこそ、この映画は強い。

あらゆるところで発生するトラブルがどこか底で通じ合っているのではないかというビジョンには多少の審美主義が混入しており、見方に甘さが無いといえば嘘だが、真実だけで映画は出来ない。事実の多少の整除と布置結構のあやの作り方のうまさが必要で、説話部分と趣向のシステムを示す部分の混入比が、お酒のマティニ同様、生き死にを分ける。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (5 人)Orpheus ことは[*] 死ぬまでシネマ[*] chokobo[*] ぽんしゅう[*]

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