[コメント] 第9地区(2009/米=ニュージーランド)
とにかくずっと汚い作品。だからこそいい。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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超文明によって運ばれてきたのは生きるのがやっとの難民エイリアン、という設定でがっちりと鷲掴みにされた。厄介払いされたのか、まさに難を逃れてきたのかはわからないが、そんな彼らがたどり着いたのがケープタウン上空ということで、彼らの位置づけがどのようなメタファーであるのかはすぐにわかる。
そこから始まっているから、「エビ」達がただ無気力で非生産的などうしようもないヤツらだとは思わない。それはそこに到る背景が必ずあるからだし、どんな先進国でもある状況なのだ。
そしてシャルト・コプリー演じるヴィカスの描写がすごくいい。ドキュメンタリー風に差し入れられる取材カメラの映像におけるヴィカスと、そうでない素のヴィカス両方を見せることで、このお人好しな主人公の人間性が掴みやすくなっている。そんな主人公が変わっていく段階をやや過剰気味なエキセントリックさで表現したコプリーの才能は「かなりスゴそう」な気がする。よりシリアスなスティーブ・カレルと言えるかも。「中絶」あたりのブラックさも無邪気な演技で中和していたし、僕は笑えた。
つまるところ、この作品でもっとも醜悪なのは人間であり、その悪意によってヴィカスは追いつめられて、やがて自分が何物であるかを知るようになる。「3年後」が楽しみな気もするが、これで終わってくれていいとも思う。
ラストの司令船の描写によってこの作品は寓話ということになるのかな。
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