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[コメント] ザ・ミッション 非情の掟(2000/香港)

ラストまで観て初めて全体像が浮かび上がる、一片の無駄もない精巧な嵌め絵。
G31

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







暗黒街の抗争は、すべて私利私欲にもとづく。それは誰にとっても、自分が最も可愛いからだ。だが自分が可愛いからこそ、自分の存在よりも大切なものの存在を知るのだ。

それは「大義」と呼ばれたり、この作品のように「掟」と呼ばれたりするが、そういう存在の前で初めて人間は無私になれる(と思う)。

普段は別の現場を持ちながら、いざというときには究極の掟の為に身を投じることの出来る男たち。この秀逸な構成は、単に物語にリアリティを与えているだけでなく、マトリョーシカのような入れ子構造となって、物語全体を象徴している。

非情な掟の遂行を要求しながらも、部下へ優しい愛情を注ぐボス。(その愛情表現は下手だけど、そこがまた悪党らしくていい) ボスの命を守る立場でありながら恐怖心から身を隠すボディーガードを、見咎めないばかりかその後街で見止めると、金を遣ろうとさえするボス。悪党独特のギラギラ感にちょっと欠けるきらいはあるが、ある種の無私の境地に達したこのボスは、身を呈して守る価値がある。

もう一度繰り返すが、自分の命を大切に思うからこそ、自分の命よりも大切なものの存在を知る。

そう、掟を守ることが大切だからこそ、掟を守ることより大切なものの存在を知るのである。

***

ってゆうか、奥田K子さんのreviewに全部書いてあるので、そっちを読むべし!

85/100(02/01/26記)

(評価:★4)

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