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[コメント] 赤ひげ(1965/日)

黒澤流お涙頂戴式ヒューマニズム賛歌。「無知と貧困」みたいなテーマの割りに、どこか明るくあっけらかん。
G31

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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 いわゆるジメジメした日本調のお涙頂戴式ではない。役者陣(主に脇役陣)は舞台上で咆哮するかの如く大音声で科白を喋るし、荘厳と評される六助(藤原釜足)の死の場面では、本当に交響曲みたいな調べが大音量で流れる。でも、型としてはやはり、お涙頂戴式と言っていいのではないか。悪いと言うのではない。それはそれなりにじんわり来るものは来るのだ(日本調のお涙式でもそうだが)。

 三船(赤ひげ)最強の格闘シーン(遊郭街の門番のヤクザ?連中をあっという間に素手でのしちゃう)なんか、この一連のドラマに必要か?というか、ファンサービスか?という感じだが、「医者ともあろうものがこういう乱暴を働いちゃいかん」と赤ひげ本人に言わせたりと、どう反応していいのか呆然としてしまうが、もしかしたら笑わせようとしている?黒澤流のコメディ描写?な気がしないでもない。

 「どんな病気も医者には治療できない。問題の根本は『無知と貧困』にある。だが一度でもそれを解決しようした政治があったか?!」みたいな台詞を赤ひげに言わせていた。それで、出てきた患者の症例(?)はほとんど精神病みたいのばかり。江戸時代ってそんなに精神病者が多かったのか?というか、時代劇にかこつけて、描きたかったのは同時代(昭和40年頃)の世相だったりするのだろうか。いずれにしても、あまりに図式的に過ぎて、身を切るような問題を描いているという感じがない。

 (席一つ空けなので)斜め後ろの老人観客。演出の間然とするところで「ああ」とか「うう」とか不満の声を漏らす(結構声がデカい)。こういうの、ほとんど老人が多い。マナーの悪い老人観客が一人でも早く消え去ることを願う。

75/100(21/9/19...30年ぶりぐらい再見)

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ぽんしゅう[*] けにろん[*]

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