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[コメント] マイノリティ・リポート(2002/米)

活劇を志向するスピルバーグはやっぱり素敵。これはあくまでも、巻き込まれ型の犯罪映画を作ろうとしたんだと思う。ただ、同じ原作者を持つノワール志向SFとして、『ブレード・ランナー』という巨大な先達がおり、あの映画の豊かさ(訳の分からなさも含めての魅力というか)にはかなわないけれど。
ゑぎ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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 画面上のこだわりという部分だと、本作は水の映画であり球形の映画と云うことができますね。水へのこだわりは...3人のプリコグは屋内のプールに浸かっている、トム・クルーズの息子はプールでクルーズが潜っている間に誘拐される、ピーター・ストーメアによる手術の後、捜索に会ったクルーズが、浴槽に潜って逃れる、アン・ライブリー=ジェシカ・ハーパーが殺される場面も水辺、なんてことが上げられる。球形に関しては、犯罪者名の書かれたボールや、クルーズの眼球や、未来型レクサスを含めた乗り物の形状などが指摘できるけれど、妊婦のお腹、とまで云うと少々穿ち過ぎか。

 ちなみにアクション演出ではレクサスの工場でのコリン・ファレルとの対決がいい。このシーケンスの帰結、現実離れしたいい加減な結果と、完成した車の中にいるクルーズの見せ方の簡潔さ(とても短いカット)がいいのだ。

#さて下は備忘。

 『ブレード・ランナー』の名前を出したので、本作との相違点で興味深いと思った部分を上げるとすると、まず、広告看板の扱い。『ブレード・ランナー』ではビルに大きな電子看板がかかっている、という造型だったのに対して、本作は、いたるところで網膜認証が行われ、その結果(個人特定)でもって、店舗内のデジタルサイネージから、名前を呼ばれるプッシュ型の広告が行われる未来なのだ。Amazonなんかのターゲティング広告の発展型か。また本作の網膜認証もそうだが、いずれの映画も眼球の演出がポイントになっ ている。『ブレード・ランナー』ですぐ思い浮かぶのが、虹彩判定器。或いは、冷凍庫のような場所でレプリカントの眼球を作っている男のシーンなんかもあるし、タイレル社長の目玉を潰す場面もある、等々。

(評価:★3)

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