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[コメント] クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦(2002/日)

青空をひたすら仰いで、いつしかその変わらぬ青さに切なさすら覚えたりすることって、他の国の人にもあるのだろうか、とふと思った。本当に日本映画らしい映画だと思う。
くたー

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







この映画の叙情や牧歌的な空気は、かすかな切なさを帯びている。あの湖は幾多の逢瀬や幸せな光景と共に、どれだけの争いをも映し出してきたのだろうか。そんな多くを孕みながらも、まるで水の波紋がすぐに平静を取り戻すように、気づけばまた優しい姿でそれはそこにある。

まるでしんちゃんと一緒にタイムスリップしてきたかの様な、いくら強くてもあまりにも優し過ぎる廉姫と又兵衛。乱世の時代に生まれてきたことが、まるで運命の残酷ないたずらとしか思えない。でも反面、こういう人たちがいなければ、今の時代は生まれなかっただろうとも思う。そして二人はそんな運命をきっとどこかで受け入れている。「死」で終わっても決して悲恋のメロドラマで終わってないのは、きっとそういうことなのだと思う。そう、私たちは人の世の儚さを知りつつも、その傍らでは、変わらぬもののいとおしさをも同時に感じることができるのだから。

ともあれ細かな描写の凝りようも手伝って、思いの外キメが細かい。クレしんである意味があるのかどうかは分からないけど、叙情的な雰囲気を壊さずに程良くクレしんテイストを盛り込んだ手腕は、まさにアッパレと言いたい。(いい意味で)程よく空気を弛緩させていると思う。そしてそんな風にナンセンスとシリアスの間を軽やかに行き来できるのは、まさにアニメならではの強みであることは確かだと思う。

個人的な好みで言うと『オトナ帝国』よりも好きかも。[4.5点]

(2005/10/10)

(評価:★4)

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