[コメント] A.I.(2001/米)
僕はキューブリックファンではありません。むしろスピルバーグの方が好きだったりします。だからこの映画も全編通して面白いです。でもこの「マザコンキング」監督によって、主旨が微妙にズレているのはわかります。ラストで台無し。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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逆に言うと、この「面白い」のが問題なんです。スピルバーグ空間に身を委ねていると、ラストでこれはそんな空間じゃなかったって気付かされます。非常に居心地が悪い。
スピルバーグの映画には、頻繁に「母への憧憬」が出てきます。これまでの彼のからんだ作品には、それは「強い母」という形で現れてきていました。『E.T.』も『グレムリン』もね。そんな彼に「人間(の母)とロボット(の息子)」の原案を渡せば、「(人間の)母と(ロボットの)息子」のお話に微妙にすり変わっていくのは当然だったのかも知れません。
ただしです。「強い母」は守ってくれます。それが今回は設定上むしろ敵に近い形になっている。ここで彼の方向性が破綻してるように思えるんです。守ってくれるはずの母がいない状況で、それでも守ってくれる母を探し求めるディビッド。考えてみれば、自分と同型のロボットを壊すシーンでその破綻が顕著に出ているように思います。「愛されるのは僕だけだ!」。これがこの映画に含まれた母子の愛の表出だとしたら、何とも悲しいお話です。
そこの破綻にも気付かず、楽し気な気分でラストまで観てしまったのが敗因です。破綻した愛情が、破綻した状況で満たされる様を見せられても心は動きません。
というわけで、個人的には非常に残念な作品なんですが、「楽しむ」より「考える」比重が高い映画であることを考えると、どうしてもこの点数です。でもテディは良かった。
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