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[コメント] A.I.(2001/米)

いつもスピルバークの作品を観て思うのは子供の心を描くのが下手糞なオッサンだなぁ〜という点。童心の固まりのように報道されるけど実はこの人『シンドラーのリスト』とかそっちで才を発揮する人。本作も大人の視点で見たキッズ・ワールドが展開。
TOBBY

フック』『グレムリン』『E.T.』『太陽の帝国』もみ〜んな何処か暗い影を作品の意図と無関係に落とし大人の描く子供の視点になってしまっている。監督の子供らしくない少年期を送ったであろう過去と密接していそう。本作も幼い少年ロボットを通しながらも肝心の核が人類愛と親子愛の曖昧な形で何を言いたいのかが惚けて雰囲気で終わってしまっている。静謐な作品全体に流れる物悲しいトーンは嫌いじゃないし近未来のセットや世界観の構築自体は成功していると思うけれどストーリーやテーマ性に置ける曖昧さは、いかんともしがたい。執拗なオスメントの、僕を愛して光線もスピルバーク自身が父親という立場の視点でセンチメンタリズムに酔いしれてバランスを崩し思い入れ描いてしまった印象。結局、監督がマザコンであるのだろうが、子供側の親に対する視点にもっとドライに突き放し描く部分が必要だった。その辺に作品をより明快に出来るチャンスがあったであろうに残念。また基本的に凡ミスなのは、愛される方法を必死で模索するオスメントが友情を与えてくれるテディベアに対し全く反比例する態度を取っている部分。ここでオスメント扮する主人公の像に矛盾が生じてしまっている。と、共鳴し得ない部分は多々あれど酷評もしたくないのは、情愛が薄れたり、関係の希薄な曖昧な理解を絶する親子関係や人間関係が氾濫する現代社会の現状。これらは作品に流れる視点や像の不協和音も弾劾させづらくしてしまう。また個人的にはラストの氷に閉ざされた世界と未来人による解放に希望が垣間見え、そのアートワークと共に評価している。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)shu-z

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