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[コメント] A.I.(2001/米)

ブルー・フェアリーの歌
いくけん

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







キューブリックへのリスペクト

群青色のもと、母親と男の子がベッドで眠るシーンが、とっても暖かく感じらた。キューブリックは『2001年宇宙の旅』のHALのオレンジ色のシーンに見られるように、暖色系で恐怖させる離れ業を見せる。資質の違いが如実に。そして彼に対する返歌だろう。

フェリーニへのリスペクト

歓楽街への導入が『女の都』的。ブルー・フェアリーが、『甘い生活』のマリア像の持つ虚像性と『カサノバ』のラストのからくり人形の人工美の極みを思い出させる。フェリーニに似た資質を、さらけ出す潔さ。心意気!

ベルトルッチへのリスペクト?

月に乗ったベルトルッチ!(悪役だけど)。前半部分の情感は『ルナ』に似ている。

○『くまちゃん』(小中和哉監督)からの影響?

話す熊のぬいぐるみがそっくり! もし、そうだとしたら、大したもんだ『くまちゃん』!

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戦争とか人種差別を繰り返す人類は、最高の知能なのだろうか。進化してもたかが しれている感じもする。そんな人類が作った人工知能が、悪意のない純粋な知性と して存続していく。進化の一形態か。ありうる話だ。まさに、哀歌だ。美しい。そして、人類一人一人の思いは宇宙時間に記憶されるのか。少し救われる思いがする。新しい宗教観といってもよいだろう。作劇上の破綻を恐れず、前半をパノラマチックに、そして、後半のブルー・フェアリーの印象を鮮やかに刻印させるスピルバーグのこころざしに花束贈呈!確実にいえることは映画は人類のささやかで愛しい記憶装置だということ。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (10 人)りかちゅ[*] mimiうさぎ[*] Kavalier べーたん おーい粗茶[*] 太陽と戦慄[*] kazby あさのしんじ[*] ina アルシュ[*]

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