コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 緯度0大作戦(1969/日=米)

メカニックがカッコイイのと、「波」が上手すぎるのと、マリクの研究がいかがわしいのとてんこ盛りではあるけれど……。
荒馬大介

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 イントロは非常にわくわくさせてくれる。調査船の特撮シーンの「波」の見事さといったら特筆モノで思わず感服。潜水球が海底に着くと、休む間もなく海底火山の噴火で大ピンチになる。このシーン、水に溶かした絵の具を大量に水槽の中に流し込んで作ったとかで、それを逆さに撮影して海底火山とは何とも驚きの「逆転の発想」である。

 この辺まで観て、実に良い調子で話がすすんではいたが、その後がどうもついていってない印象を受ける。アルファ号も黒鮫号もカッコイイし(特に黒鮫号の曲面構成)、特撮も良い。しかし所々で損をしているのが残念なのだ。伊福部昭の曲をバックに、アルファ号を操縦している時のジョセフ・コットンのやる気の無さが気になってしょうがない。乗組員の変な中国人も「はい艦長」くらいしか言わないし、岡田真澄が相当な怪我してるはずなのにタンカも使わないで担いではこんじゃマズいだろう。リンダ・ヘインズの背中丸出し衣装も気になるが。

 そしてマリクの居城のいかがわしさ。巨大ねずみあたりはまだよかったが、さすがにライオンとコンドルとこうもり人間には口あんぐり。確かにその後グリフォンに改造されるのだからそれを考えてのことだろうが、ちょっとくらい本物を出しても良かったのでは?と思う。手術台に乗せたところから着ぐるみ使うとかすれば多少は印象も違ったはずだが。その後レーザー一発がどこかに命中して一気に崩壊するブラッドロック島。自爆ボタンとかありましたっけ、この島は。

 こういうところで損をしているだけあって、さすがに「隠れた名作」とは 呼べないのが残念なのだ。それでも「特撮は“水”が一番難しい」と言っていた円谷英二の技を感じて欲しい。最新CGがどうあがいても表現できない本物の「波」があるのだから。

(で、後で分かったのだが、冒頭に出てくる海洋調査船のミニチュアは10メートル以上ある巨大なもので、自走可能だったらしい。ここまでくればもう立派な「船」である)

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (4 人)シーチキン[*] 水那岐[*] sawa:38[*] kiona

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。