[コメント] ミツバチのささやき(1972/スペイン)
アナだけでも、イサベルだけでも成立しない映画。子供を描く映画は多いが、子供の持つ世界を描く映画で成功しているのって、あまりない。数少ない映画だと思う。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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現実と夢想の境界線の曖昧さを、何であんなに壊れそうな繊細さのうちに描けるのかと、見る度に思う。アナがフランケンシュタインと出会い、目を閉じたまま倒れるシーンでは、それが恐ろしく高い次元で実を結んでいて、思わず言葉を失う。子供の感じ方に寄り添って子供を描ける、稀な人なんだとつくづく思う。イサベルは残酷さというよりは、子供の知識ではまだ及ばない死というものを、こちら側の境界から躊躇いがちに覗いてるように、やはり危ういバランスで描かれている。これも子供ならではの、死のとらえ方に寄り添っている。アナもイサベルも、持っている世界は違うけど、現実の人や物や事柄に反応しながらも、明らかに大人の考えの及ばない世界を感じ取っている。この子供の世界を、ここまで脆いバランスで描いている映画は他に知らない。大切にしたくなる映画というのは、よく分かるような気がする。でももちろんこれだけの事で、この映画は評価できないのも事実で、この映画全体が見えてくるのは、まだまだ自分はこれからのようです。
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