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[コメント] ナチュラル(1984/米)

私を野球につれてって
ナム太郎

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







この間メジャー・リーグの試合を観ていたら、ファール・ボールがスタンドに飛んで行き、ある青年がそのボールを捕球した。

私がその青年ならこんな幸運を逃す手はない。きっと家に持ち帰ってみんなに見せびらかすことだろう。

しかし、その青年は違った。彼はそれがまるで当然であるかのように、いちばん近くにいた(どう見ても他人の)ひとりの少年にそのボールをプレゼントしたのだ。

少年の喜びようといったらそれはすごかった。まるで自分がヒーローになったかのようにボールを高々と持ち上げた。それはまるで「これは僕のボールだよ。僕メジャーリーガーが使っている本物のボールを手に入れたんだ」と叫んでいるかのようなポーズだった。

そして、その青年には、これもそれがまるで当然であるかのように一般の観客が次々と握手を求めていき、彼はそのひとつひとつに照れくさそうに応えていた。

私はその光景を観て、メジャー・リーグという世界と、それを愛する人々とが本当に好きになった。そして自分もその青年のような大人になりたいと勉強させられた。

アメリカ人にとって、メジャー・リーグとは本当に夢を与えてくれる世界なのだろう。そしてメジャーリーガーたちはそれらの人々に夢を与えるためにプレイしている。それぞれがかつては『私を野球につれてって』を口ずさむ少年だった自分たちを振り返りながら。

そういう意味で例のバットに刻まれる「WONDER BOY」の文字は、この映画の作り手からメジャーリーガーたちへの最高の賞賛の表現であると私は思っている。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (11 人)大魔人 FreeSize terracotta[*] 1973 JKF[*] ゼロゼロUFO[*] いくけん べーたん さいた モモ★ラッチ[*] シーチキン[*]

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