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[コメント] 雨あがる(1999/日)

「老人」の映画。
ちわわ

佳品である。

そのことはメイキングの様子を映したフィルム(DVDに入っていた) を見ればさらによくわかる。 例えば「朝の大気」をどう演出するか。このことだけでも どれだけスタッフの力が入っているかが、わかる。

黒澤が活躍した時代、ひとつのシーンを撮るのに、どれだけスタッフが 考えて撮ったことか。もちろん、現代、そんな技法の多くが失われて いっている。だから、こういう映画がそれを思い返そうとするのには 心から支援したい。

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しかし、一方で感じる。

この作品は、過去の「映画」を追い求め続けている映画であることを。 つまり、自分たちで新しい映画を作るということに重点があるのではなく、 過去の「映画」がどういうものだったか、ということを捜し求め続けている 作品なのだ。

この映画の主人公が、そしてその妻が、求め続けている「何か」とその 「映画」がシンクロする。

そしてそのことが、いろんな観点で、この作品の限界を作ってしまっている のである。

作品には、答えを探求しようとする作品もあれば、あらかじめ答えがあって その答えの演出に力を求める作品もある。 この作品は、まさに後者だ、そしてそれがゆえに、珍しいほど「老人」的な 映画なのである。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (5 人)ぽんしゅう[*] Aさの[*] ジェリー[*] ボイス母[*] けにろん[*]

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