[コメント] 普通の人々(1980/米)
リストカットをすでに扱っているのだった。ウェルメイドから一歩踏み込んだ脚本が興味深い。最初からTVドラマ仕様と諦めて観れば、水槽の淵がみえそうなボートの撮影も笑って許せる。予算がなかったのだろう。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
煎じ詰めれば、精神分析の転移療法が見事に決まり、クランケたちがいい人になるのを止めて本音を云いあったら家族が崩壊しました、という話。フロイトはそもそも個人主義者であり、アメリカは抑圧された個人の解放のために精神分析を流行させたのだから、家庭がそこら中で崩壊するのは理の当然であり、『クレイマー、クレイマー』の翌年にこのような形で事態を取り上げた本作は正鵠を得ていたと思う。
その後、この親子は何処へいったのだろう。父と子が親子関係の見直しを手探りで模索し続ける一方、ヒューストンへ帰った母は、家庭の価値を保守的に訴えたブッシュ政権を熱烈に支持しただろう、と想像される。あの精神分析医を救世主と捉える父子と、受診を拒む母との対立は、そのまま現代の「二つのアメリカ」の典型にみえる。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (2 人) | [*] [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。