[コメント] 愛の嵐(1973/伊)
これは愛ではない、幻想だ。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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収容所で恐怖と空腹に耐える少女の一筋の希望がマックスだった。 卑劣な抑圧と暴力で君臨する男は自らの蛮行を否定し慰めを求めたかった。
2人はお互いに欲情をもってしてつながっていたのだろうが、それは「愛」とは呼ばない。殴打される痛みは、それに耐えてきた自分を慰めるため。 体の隅々まで舐めまわす愛撫は、自分自身を慈しみたいから。
ナチス解体から10年以上を経て再会した二人が分かち合えるのは、ただ当時の痛みと一時の快感だけなのだ。
少女時代のシャーロット・ランプリングのおびえた野ウサギのような体つきと、オペラ会場でマックスの存在に気付いた時の表情。能面のような冷たさを持ちながら深層にある傷や渇きの表現に圧倒される。
夜間のみに勤務するというナイト・ポーターのマックスの横顔に充てられるライトや寒々しい部屋のしつらえと、脇を固めるホテルスタッフや元親衛隊の面々も良い。
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