コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] LOVE LIFE(2022/日)

声を掛け合い人が集散し話が動き出す。数分続く集合住宅群の建物の遠近や高低差を活かした流れるような導入部は古い欧州映画のそれを彷彿とさせる。境界としてのベランダ。懐中電灯やCD盤の光による疎通。中断されたオセロ。狭い室内のパーティ飾りや小さな祭壇。
ぽんしゅう

そんな魅力的な仕掛けを駆使しして深田晃司は物語の興味を絶やさない。そして“言葉”だけの口頭コミュニケ―ションを二重に遮断(否定)する「韓国語」の「手話」は、人の目をみて会話ができない二郎(永山絢斗)と妙子(木村文乃)の“見えない溝”を象徴する。妙子とパク(砂田アトム)が用いる手話とは、相手を見つめないと成立しない会話(コミュニケーション)手段なのだ。

残念だったのは、それぞれのキャラクターがみせる“人間的な弱さ”のどれにも共感(理解)できなかったこと。人の心の複雑さを描くにあたって人物造詣が作為的に過ぎたからかもしれない。義母(神野三鈴)の俗っぽい優しさは憎めなかったけど。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (1 人)ゑぎ[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。