[コメント] エルヴィス(2022/米)
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2時間40分という上映時間だが、そこまでの長さは感じさせない。アッという間だったとまでは言わないが、エッ、もうそんなに時間が経ったの?というのが見終えた率直な感想だった。
作り手の側が、エルヴィスの一生を一個の物語として描こうとしていたからと思う。人生のイベントをただ時系列に並べる凡庸な「伝記映画」の冗漫さは回避されていた。これは凄く良いことだ。
ただ、そこにはやっぱり問題もあって、説明台詞が多かったかな。と言うよりは、映像の出来栄えが台詞で説明しなければ分からないレベルだったのだと思う。端的に言って、「女の子の口元は、興奮していいのかどうかの『戸惑い』を表していた」みたいな台詞をトム・ハンクス演じるパーカー“大佐”に言わせていたが、こんなのは台詞で説明しちゃ駄目なのだ(多分)。
さらには、この大佐なる見栄と打算の入り組んだ人物を狂言回しとしたために、物語がやや陰惨に傾いた。エルヴィスの極めた栄光がかすむというか、そんなに栄光に見えないのだ。大佐は、おのれがエルヴィスを搾取し続けるために、彼の夢や希望をくじき、そのためにエルヴィスは死期を早めた、そんな物語にやや見える。それがエルヴィスの人生なのだと言われりゃそれまでなのだが。
もう一点。「監獄ロック」でも「ハウンド・ドッグ」でも「ラブ・ミー・テンダー」でも「好きにならずにいられない」でもいい。1曲丸々彼のパフォーマンス(もちろんオースティン・バトラーので構わない)を堪能するという場面をもっと増やしてほしかった。これ以上尺を伸ばす選択肢もあまりなかったのかもしれないが。
★3つか4つかで迷う。迷ったときは多い方という★4つ。
80/100(22/7/10見)
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