[コメント] プロミシング・ヤング・ウーマン(2020/英=米)
アカデミー賞のオリジナル脚本賞を獲得しただけのことはある、捻ったプロット展開とメッセージ性で、最後まで面白く見た。ただし、古めかしい美術装置や衣装、ヘアメイクの趣味が、特徴的だが、画面造型全般に微妙だと思う。
これは、監督の好みなのだろうか。例えば、ビクトリアン調(ロココ調?)のアンティークの家具(ベッドやソファ)、壁の模様等を背にしてキャリー・マリガンを映した、シンメトリーの画面が目立つが、キューブリックを思わせるようなスタイリッシュさの感覚では全然ないと思う。ワザとだと思うが、なんか悪趣味なのだ。
とは云え、勿論特筆すべきと思った部分はあり、いくつかあげます。まずは、道路で後続車の男を怖がらせるシーン。これって無くても全然問題ないシーンだと思うのだが、こういうところで、凝った演出を見せるのがいい。すなわち、男の車が去った後の、道の真ん中に立ちつくすマリガンのカットで、後景の鉄橋に列車を走らせる、という演出。こだわりが感じられていいと思った。あと、薬局で、パリス・ヒルトンの曲に乗って、ボー・バーナムと二人で唄い踊るシーン。この幸福感が終盤に効くのだ。全般にバーナムとマリガンのやりとりは面白く、くすぐられる。そして、終盤の川の側での焚き火の場面、こゝの音楽は「王様と私」の「Something Wonderful」だ。これはアイロニカルに過ぎる(誉めてます)。
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