[コメント] 殺陣師段平(1950/日)
生世話の人情物という難素材を我が物としてしまうマキノ雅弘の面目躍如たる傑作。画面転換のうまさ、フレームの中に確信犯の周到さで設定される光源の美しさ、カットインアクションの華麗さ、役者の持ち味の引き出し方、いずれも最高の水準を示す。
映画は実は人物だけが演技をするのではなく、揺れる風鈴、灯篭の明滅、波頭のきらめき、これらすべてが演技の主体であって、そのことを熟知した演出家を映画監督という。物と人の演技の交響としての画面作りがどのシーンにおいてもゆるぎなく実施されているこの当たり前の行動がこれ見よがしでなくなされてしまう事態を心から驚くことから映画鑑賞は始まる。
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