冒頭に東大の松尾豊先生が出てきますが、NHKで放送していた先生のシリーズ番組は面白かったので全部みました。だから私は知ったかぶりの“にわか”AI通(もどき)なのです。「知ったか、にわか、もどき」と三重に否定するところが奥ゆかしいというか、謙虚というか、自信のなさというか。

でもキャッシュレス化と引き換えに個人情報をどんどん吸い上げたり、日本のメディアにまで映像が毎日のようにたれ流される監視カメラ社会の中国とか、そうえいばハロウィンの夜に渋谷で軽トラひっくり返した輩どもを、街頭のカメラ映像をたどって自宅まで見つけ出した日本の警察とか、これ一枚で何でもできるようになると強弁しながら一向に普及せず、4年たって霞が関の官庁の入館証に成り下がっているマイナンバーカードの魂胆とか、裁判の証言でも平然と自説を説いて、こいつ本気なんだ、と衆人をぞっとさせる障害者殺傷事件の犯人の優性思想とか、そんなこと考えると、この先、やっぱりこの映画と五十歩百歩の社会なんじゃないのかと・・・「知ったか、にわか、もどき」の私はひとりごつのでした。

日本のこの手の映画にしては画面内の人の密度が高くて、その厚みが活劇のリアル感を裏から支えていたのが印象に残りました。逆に大沢さんの周りに配置された癖のありそうなキャラクター(役者さん)たちいが、いまひとつ機能していないのがもったいな気がしました。あと女性の総理大臣が出てくる日本映画って過去にありましたっけ。私が観た範囲ではあまり記憶がないのですが、ひょっとして、これが初めて？

〔追記〕女性総理

『ゴジラ×メカゴジラ』(02)で水野久美さんが演じられているそうです。 TOMIMORIさんのPOV「総理大臣を演じた俳優たち」で知りました。