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[コメント] 危いことなら銭になる(1962/日)

黒バックに札が舞うタイトルバック。誰があなたを殺すのかしら〜という女性(マーサ三宅なのか!)の歌。こゝからもうふざけているのだが、全編ふざけた魅力に溢れた映画だ。
ゑぎ

 主人公は宍戸錠。しかし、そのライバルだが仲間でもある(仲間にもなると云った方がよい)3人−長門裕之草薙幸二郎、そして浅丘ルリ子との4人のチームワークを描いた映画だ。

 4人の内、男優3人の中では草薙がどうしても分が悪い存在感だが、長門はよく目立っていると思う。しかし何といっても、本作の魅力を体現しているのは、浅丘ルリ子だろう。ひっくり返ってスカートの中を見せる登場シーケンスでもう彼女にメロメロになってしまい、以降、その一挙手一投足に目が釘付けになる。さらに、多彩な脇役たちの中で、最も重要な、キーファクターと云っても過言でない贋札作りの名人夫婦を、左卜全武智豊子がやっていて、この2人の飄々とした造型が本作の面白さに寄与している部分も大きいのだ。例えば、武智が家で死んだように倒れている場面。これが老夫婦で西部劇ごっこをしていたと判明し、さらに武智のガンスピンの披露に繋がるのだが、これなんかプロットを経済的に運ぶ上では全く必要のない演出だ。しかし、映画を豊かにする細部だと云えるだろう。

 その他、ぱっと思いつく豊かな細部の例をあげておくと、度々言及される銃フェチの趣向。キャバレーのステージでダンスする女性をガラスの床下から仰角で撮った『幕間』みたいなショット。宍戸が乗る(浅丘との2人乗りの場面も印象に残る)赤い小さな自動車(メッサーシュミットKR200という車らしい)。警視庁内部でのロケーション(警視庁前ではチキンラーメンのバスが出て来る)。終盤の埋立地での超ロングショット。そして、贋札に施した名人の署名とも云うべきイタズラなどなど。

 良い画面造型という部分では、キャバレー「アカプルコ」の場面周りを特記したい。走る赤い車に宍戸と浅丘2人乗りの俯瞰。また、この2人に風があたる画面がいい。キャバレーにダンプが突っ込んだ後の、店がカオスの様相を呈する中でもダンスする女性たち、といった演出も大好きだ。あるいは、浜田寅彦山田禅二ら敵メンバーと宍戸たちがピストルを取ったり取りあげられたりする場面の全員を俯瞰で撮ったショット、続いて地下に閉じこめられるシーンでは全員がアオリで捉えられる。こゝが象徴的だが、複数人をフルショットでおさめた画面と、要所での切り返し及びアクション繋ぎが、中平お得意のマシンガントークを効果的に見せるのだ。というワケで、ま、今見ると幼稚過ぎて笑えなかったり、散漫に感じる部分もあるけれど、実に楽しい細部の充実した映画だ。

#備忘でその他の配役等を記述します。

・浜田寅彦がボスの敵メンバでは、平田大三郎が一番目立つ。トカレフを持つ男。次に郷えい治野呂圭介あたり。他にも、榎木兵衛黒田剛玉村駿太郎ら。

・横浜中華街の銃密売所で宍戸が会うガンマニアは井上昭文

・浅丘が贋札用紙を手に入れるシーンで殴られる工員風の男は光沢でんすけ

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)disjunctive[*] ぽんしゅう[*]

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