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[コメント] 未来よ こんにちは(2016/仏=独)

妻でもなく、娘でもなく、母でもなく、恩師でもなくなるとき。人生の“役”が次々と消失しても、この聡明な哲学教師は慌てない。ひたすら動き回りながら考える。ついに、自らペットの飼い主であることすら放棄して、自分は自分になることを冷静沈着に選択する。
ぽんしゅう

以下、私ごとで恐縮です。

施設に入所していた母は数年前に逝った。息子はこの春、職を得て独立した。時をおかずして、嫁いでいた娘に娘ができた。幸か不幸か連れ合いはまだ家にいる。もともとペットはいない。仕事は嫌いではないので続けたい。とは言え、いつまで続けられるのか見当がつかない。そんなことを思う日々。

彼女(イザベル・ユペール)が遭遇する、みんな終わっていく感、自分が誰でもなくなっていく感、が身に染みるようによく分かる。こんなに素直に感情移入できた映画は久しぶり。でも、若いころのように無邪気に感動したりは、もう出来ない今日この頃の心模様。

私も彼女みたいに、ひたすら動き回ってみようかなと、誰にも聞こえないように小さな声で言ってみた。

(評価:★4)

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