[コメント] ルーム(2015/米)
冒頭タイトルインまでで、部屋の細部の接写カットが数カット出る。おゝブレッソンの『抵抗』か?と思うが肩透かし。比較するのは酷というものだが、カメラの視点にあのような厳格なスペクタクルはない。
それに、警官の登場シーンとテレビ局の取材撮影シーンで素早い小さなズームを使う。どうしてこういう無節操なことをするのか意味が分からない。脱出シーンももっとスリリングに作れそうに思う。母親の救出を省略するのは、あくまでも子どもの視点という制約事項なのだろうが、数カットでいいからスリルを増すカットを入れてほしいところだ。また、助かったあと、母親が気丈過ぎる、不自然に「今」に適応し過ぎる、と思って見ていたが、次第に子どもの適応力と逆転する。このあたりを見事と取るか。私は作劇臭いと思った。
子どものモノローグで随分とポイントを上げている。あと、殆ど回想シーンがない、というのはとてもいい。(拉致や出産の状況が回想シーンで画面として提示される、というような無粋な措置はなし、という点)。ただし、後半、部屋の天窓のカットと、床に座り、天窓を見上げるブリー・ラーソンのカット、という効果的なフラッシュバックはある。
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