[コメント] 寄生獣(2014/日)
あの心理的かつ説明的な原作からよくここまで映画として見られる脚本を作ったものだと感心する。一方で原作のドライさのおかげか山崎貴のいつもの感傷病も幾分か抑えられているのも良い傾向だ。阿藤正一の撮影も中島哲也作品の時のようなPV臭は感じさせず硬質な世界観を生み出すのに貢献している。音楽はやや大袈裟だが。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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島田秀雄(東出昌大)やA(池内万作)と初めて出会う場面を水族館に設定し画面に動きをつける、中華料理屋の換気扇から射し込む光、爆発後煙が立ち込める校舎を映したロングショット、ラスト母親の首を斬り落とす時電車が通り過ぎる音を被せる、何気ない場面だがこうしたアクセントがあるかないかで映画の面白さは大きく変わってくる。こうした場面で手を抜かない山崎貴の職人的手腕を侮ってはいけない。
母親(余貴美子)の火傷に関するエピソードを回想を用いず台詞だけで説明したのも評価できる。回想は単に説明として用いられた場合往々にして映画の流れを停滞させてしまう。そこで油絵という小道具を介して母親に対する感情を示したのは賢明な判断だったと思う。
「この人間を攻撃するならお前を殺す!」という台詞の後、ミギー(阿部サダヲ)を映していたカメラが徐々に敵パラサイト(オクイシュージ)に向けられていく場面、魚市場に逃げ込んだ泉新一(染谷将太)を追うAをカメラが追いそのまま魚市場の概観を映していく場面、東出昌大が初めて登校する場面でまず足元だけを映し染谷将太が上半身を起こすのに合わせ全身を映すといった場面など、安易にカットを割らずに1カットで被写体を捉えようする意志を持っているのもよろしい。
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