[コメント] 福福荘の福ちゃん(2014/日=英=台湾=伊=独)
最初から最後まで気持ちよく爆笑させてくれる。現代的なブラックユーモアと伝統的な人情喜劇が排斥し合わず相乗効果をあげる様は大人計画系喜劇の見事な達成。出演俳優全員の代表作になるだろう。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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挫折は人格を陶治する、そうあるべきだ、という裏メッセージが本作には通底しており、いじめを受けた過去を持つからこそ優しい福ちゃんと、失業後にいじめを想起させられて涙を流す千穂を繋いでいる。これは一般化できることではなくむしろ稀な出来事だろう。この脆さを支える危うさが人情喜劇を駆動させている。だから収束はこれでいい、こうあるべきなのだ。六文銭の気恥ずかしい唄で大団円、喜劇でしか表せない理想がここにある。
喫茶店主の預言と野々下君の寺廻りの動機も、この裏メッセに繋がっている。野々下君が破綻を見せるのは理想の脆さを示して苦い。大人計画印の障がい者ネタは今回もどう観てよいのか戸惑わせる処があるが、オープンにして良いと捉えたい。
個人的なベストショットは学生時代にも凧とばしている福ちゃん。将棋を教えた相手に負ける、というギャグはかつて後藤明生が使っていた(実話らしい)。文脈が違うからパクリではないだろう、ちょっと懐かしかった。山本剛史の相変わらず振りはいっそ頼もしく、宇田川先生は可愛い。
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