[コメント] 第9地区(2009/米=ニュージーランド)
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主人公がVIDEOカメラに向かってカメラ目線でメッセージを言ったり、主人公の行動がモニタリングされてたり・・・『クローバーフィールド』とかで見たような感じで、とにかく新鮮な感じはなく、後追いのB級っぽい。けど、なんか引きつけられた!
何が面白いってキャラが面白い! まず、主人公ヴィカスは能転気なキャラで、冒頭は事の重大さを分かっていない様子。 エイリアンを人道的に扱ってるように見せかけ、人間社会のルールを押しつけてる感じがなんだか滑稽。人間として良いところも、悪いところも併せ持つ、どこにでもいそうな人。
ヴィカスの奥さんもno name(?)な人だからか、セリフが少なく、余計なクローズショットもなくて、サラリと描かれていてすごく見やすい!これで、有名女優が入ってくると、泣き崩れるカットが必要以上に描かれたりして、少々ウザい。どういう人物かイマイチわからないまま終わってしまうのもイイ。(あんまり細かくこだわってない) 昇進したヴィカスのために家族がサプライズパーティーをするのも、いかにも典型的なアメリカ人(主人公は南アだけど)的発想。それどころじゃない、ヴィカスとのギャップが笑いを誘う。
余分な長まわしのカットがなく、さすが広告出身って感じの、短く見せるのがうまい!有名俳優使わなくても、十分見てられる。 ヴィカスがエイリアンに「早く車に乗れ!」というセリフは凄い斬新! また、エイリアンが助手席に乗るカットは笑わずにいられない。 絶対ねらってる!! 普通エイリアンて運動神経がずば抜けてるイメージでしょ・・・ 『E.T』でエイリアンがチャリカゴに乗ってるけど。今回のエイリアンは、そんなかわいい容姿じゃないし。
軍人は低能で殺すことに快感を抱く奴。民間企業の代表は私利私欲の塊のおっさん。(最近だと『アバター』に出てくる軍人と資源がほしい民間企業の経営者にそっくり)。
以上、宇宙船は円盤だし、エイリアンはどっかで見たことある形しているし、全ての設定がステレオタイプで予備知識なくてもすんなり入ってくる。が、しかし、難民エイリアンの知能が低い!特殊能力もない!ある意味人間と同等。だから争いが解決しないんだけど。地球に来たのに目的がない!だって不時着なんだもん。
ヴィカスだけエイリアンの武器が使え、人型兵器も出てきちゃってそれはまるで『トランスフォーマー』。 この人型兵器はさらに魅力的で「ここに座って」と言わんばかりに、胸部分が開き、人がちょうど座れるくらいのシートが現れる。 これは、子供心くすぐっちゃうよね。 まさか、まさか、それはしないよね〜なんて思いながらも、やっぱり主人公が人型兵器に乗って操縦する画を期待してる自分がいる。そうすると、案の定、操作しちゃってるし。 裏切ったり、自己犠牲したり・・・。どうしたらいいのか、わからなくて葛藤している様子が嫌味なく描かれてる。 普通の人が巻き込まれちゃった感じが出てる。
ちょいちょい笑わしてくれる台詞↓ ヴィカス、ハンバーガー屋で 「右手は大丈夫」って・・・本当必死。
エイリアンの父子の会話。 子「僕たち生まれた惑星に戻るの?」 父「いや、第9地区から、第10地区に移動するんだよ」 なんて、会話展開しちゃって、エイリアン側に感情移入せずにいられない。
人が想像できることは未来に実現できるって言うけど、 この話をアパルトヘイトと照らし合わせると、 人が想像したストーリーは、過去に起こったできごとって感じがする。
もし、この映画、エイリアンが黒人だったら笑えない・・・ SFじゃなくて、社会派の映画になったと思う。 難民エイリアンの仕草はとことん人間の動きに似ている・・・
続編第10地区が作られるとしたら、たぶん薄っぺらいものになると思う。 でも、どんなものができるが凄く興味ある!
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