｢奥さんに伝言よ→（キス）→今度グランベリーソースと間違えたらきつくしかってやりなさい｣　終わり良ければ全て良し。やはりやってくれたよ、ワイルダー。期待を裏切らない人の代表。とってつけたようにオチをつけるパターンが大嫌いな俺だけど、このラストのとって付け方は最高だね。ラストだけで☆１つくらい違うね。その後の外で振り返って首をゴキッって、お約束の｢小道具オチ｣は余計だった。ああいうのをとって付けたオチと言う。まあそんな不満も目立たないくらい、その前のセリフが良かった。ダラダラと独り言を駆使しまくって、一体どうまとめるのかと少し不満も出てきそうな絶妙なタイミングで見事なオチをつけてくれました。

一言で言うと妄想親父ネタだから、俺が生きてる時代にも色んなネタを見てきたけど、さすがにレベルが違う。まず最初に男の妄想をネタにしようってときに、普通だったら｢今の生活を脱却したくてひたすらかなわぬ夢を妄想している人｣を設定すると思うんだけど、実際現在にもよくあるネタだし、でも逆なんだよね。今の生活は不満なんだけど、それをぶち壊したいっていう単純な妄想じゃなくて、ちゃんと生活を守ろうとしているから、そのはけ口に妄想を使っている。妄想しながらもそれがちゃんと未遂で終わってるところが面白いね。まあ妄想というよりこの主人公の場合は思い込みだから、未遂じゃなきゃ成りたたないけどね。

妄想ネタの一つ一つもいい意味でアリガチで、すごく｢リアルな妄想｣だった。この辺は男ならわかると思いますが・・。最近のＡＶのネタと大して変わらなくて、特に看護婦の回すハンドルには笑ったよ。現代の妄想ネタを当時からやっていて（今も昔もやるこた同じって全くですな）、それでいて今のよりひとひねり効いているってのは、一体どうしてなんだろう。『情婦』のときも思ったけど、この人の映画は教科書なのに、今の応用編より面白いんだよね。全く今の映画人は何を（以下略）