[コメント] 花よりもなほ(2005/日)
いわゆる「時代小説」と「歴史小説」というものがあり、映画に置き換えてみれば本作は「時代映画」に属するのだろう。そしてその差は現代劇に置き換えられるかどうかであり、自分には本作は江戸時代を舞台としてメッセージを叫ぶには不似合いな凡作と映った。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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要するに、いま「仇討ちなど馬鹿馬鹿しい。もっと優しく生きようじゃないか」と言い、それこそが「糞を餅に変える」行為だと主張するのは容易なことだ。だが、それを時代映画として語ることにいささかでも価値があるのだろうか。
正直、自分にはその手の作品は『たそがれ清兵衛』だけで充分だ。
いや、そういう話であるとは劇場に向かう時から知っていたのだ。だから作中のすりかえ仇討ち騒動もアリだとは思う。だが、それが喜劇として観たとき全く面白くないのだ。是枝監督にコメディの才がないだろうことは容易に想像がついたが、失笑すら洩らすことはできなかったし、かと言って「泣かせ」の映画としてもベテラン山田洋次の『清兵衛』からは格段に落ちるのだ。じゃあ、この映画はいったい何だ?
ただドラマで「優しくみんなと生きよう」と訴えかけたところで一笑に付されるのは目に見えている。では、時代劇の変り種として提供してみるならどうだろう?自分にはそういう監督の意志の推移があったように思えて仕方がない。
俺としては変り種はもう喰い飽きたから、スカッと爽やかなチャンバラ映画をそろそろ見せてほしいものだ。
(付記)いかに監督にとって無意味なものであれ、あれだけ画面上に印象を残さずザッと討ち入りしてゆく赤穂浪士を初めて観た。なんじゃいあれは…。
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